「塩田千春展 魂がふるえる」
ベルリンを拠点に国際的に活躍するアーティスト、
塩田千春の約25年間にわたる活動を網羅した過去最大規模の展覧会『塩田千春展 魂がふるえる』が、六本木ヒルズ・森タワー53階の森美術館にて開催されています。
副題の「魂がふるえる」には、言葉にならない感情によって震えている心の動きを伝えたいという作家の思いが込められています。
大型インスタレーションを中心に、立体作品、パフォーマンス映像、写真、ドローイング、舞台美術の関連資料などを加え、25年にわたる活動を網羅的に体験できる初めての機会になります。
塩田千春はこれまで、記憶や不安、夢など形のないものをインスタレーションやパフォーマンスで表現してきました。「不在のなかの存在」を一貫して追究した作品のなかでも、黒や赤の糸を空間全体に張りめぐらせた大規模なインスタレーションは、彼女の代表的なシリーズとなっています。
会場入口エスカレーター下に展示されているのは、
《どこへ向かって(Where are we going?)》 2017年/2019年 です。
高さ11メートルの天井から吊られた65艘の舟が、来場者を会場へと誘います。観客はこの下を通って展示室に向かい、またここから日常に帰っていくことになります。どこへ向かって?
塩田千春は大阪出身。アーティストを志し、京都精華大で洋画を専攻したが、1年生で絵が描けなくなった。「絵のために絵を描いているようになってしまって。半年ぐらい何もできない時期が続いて、『美術をやめることがこんなに苦しいなら、何でもいいからやろう』と」。そうして始めたのが、インスタレーションだった。空間に線を引くドローイングの感覚で、糸を使い始めた。
(7月2日付朝日新聞夕刊より引用)
「2年前、この展覧会のお話をいただいたのですが、その翌日には入院して再発したガンの治療を受けることになっていたんです。ここまで死と寄り添いながらつくってきた展覧会は初めてでした。」
と、塩田千春が語るとおり、言葉にならない感情によって震えている心の動きを伝えたいという作家の思いが展示作品に込められています。
今回の展覧会では作者の言葉が重要と思い、作品だけではなくその言葉も紹介させていただきます。クリックして拡大画面でご覧ください。
塩田千春 《不確かな旅》 2016年/2019年
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