「百段階段の百の縁起もの」 ホテル雅叙園東京 2
2021-01-21


ホテル雅叙園東京(旧:目黒雅叙園)で「初春の文化財見学 百段階段の百の縁起もの」というイベントが開催されています。

「百段階段」は、1935(昭和10)年に建設され当時は宴会場として利用されていた建物が、当館で現存する唯一の木造建築として残されて保全活動が行われています。
2001年に国の登録有形文化財に、そして2009年には東京都有形文化財に指定されています。

今回の企画では、250枚の日本画と建築意匠に囲まれた百段階段の絢爛豪華な装飾の中から、健康や長寿、富貴といった縁起もの(吉祥)に関わる意味や願いを込めて制作されたものを100点選び出して紹介しています。

昨日は展示されている吉祥模様の打掛をアップしましたが、今日は1階のエントランスから3階の百段階段入口に上るエレベーターの紹介です。

このエレベーターには唐獅子、牡丹、蝶が描かれています。
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これらの装飾は、貝殻の内側(虹色光沢を持った真珠層の部分)を切り出した板状の素材を、漆地や木地の彫刻された表面にはめ込む手法、「螺鈿細工(らでんざいく)」で創られています。
螺は貝、鈿はちりばめることを意味します。
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エレベーター内部から見た、ドア側の装飾です。
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ドアに向かって右側には唐獅子と牡丹が描かれています。
獅子は百獣に君臨する王といわれ、勇猛さや威厳の象徴でもあります。 百花の長といわれる牡丹との組み合わせで「唐獅子牡丹」として描かれます。
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奥には見事に咲く牡丹が描かれています。牡丹は富貴の象徴とされる花です。
獅子と牡丹の関係は、仏教では獅子は文殊菩薩(もんじゅぼさつ)に従い牡丹の花を食すとか、能楽では牡丹の咲き乱れる間を獅子が跳ね舞い千秋万歳(せんしゅうばんぜい)を寿ぐなど、多くの場面で説かれています。
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ドアに向かって左側です。エレベーター天井の照明が反射してしまっていますが、螺鈿細工がキラキラと輝きます。
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3階、百段階段入口から見たエレベーターのドアです。
1階のドアにも描かれていましたが、蒔絵で表された蝶が舞い飛んでいます。
蒔絵(まきえ)は、漆器の表面に漆で絵や文様、文字などを描き、それが乾かないうちに金や銀などの金属粉を「蒔く」ことで器面に定着させる技法です。
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