フェルメールの絵にキューピッドが出現?
2022-03-03


上野の東京都美術館で「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」が開催されています。

本展では、古典絵画館が所蔵するレンブラント、メツー、ファン・ライスダールなどオランダ絵画の黄金期を彩る珠玉の名品から絵画・版画 約70点が来日しました。
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本展の目玉は何といってもフェルメールの《窓辺で手紙を読む女》です。
この作品の手紙を読んでいる女性の背後の壁にキューピッドの画中画が隠されていることは、1979年、サンフランシスコでの展覧会に出品された際に行われた×線調査で判明していました。
ただ、長い間 このキューピッドの画中画に上塗りをして消したのは、フェルメール本人だと考えられていたんです。

しかし、2017年からの修復作業の中で、キューピッドが消されたのは絵が描かれてから少なくとも数十年後であることが判明し、この絵が描かれて17年後に亡くなったフェルメール自身の手によるものではないことが分かりました。

本展のチラシです。
このチラシの右半分が右側へめくれるようになっています。
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右半分をめくるとキューピッドが描かれた絵が現れます。告知用のチラシにしては手が込んでいます。
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キューピッドが上塗りされた理由は分かっていませんが、この絵がドレスデンのコレクションに加わった際の手紙には「レンブラント作」とされていたということです。
当時はフェルメールは知名度が低く、レンブラント作の方が作品の価値があったので、レンブラントの作品に似せるためにキューピッドを消してしまったのかもしれませんね。所有者の好みや、画風の流行のせいで消されてしまったのかもしれません。

2018年2月に全ての上塗り層を取り除く「修復プロジェクト」が始まりました。
そして、2021年9月に長い修復作業を終えて、画家が描いた当初の姿が所蔵館(ドレスデン国立古典絵画館)でお披露目されたのです。
所蔵館以外での公開は、本展が世界初となります。

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ヨハネス・フェルメール 《 窓辺で手紙を読む女 》 1657〓59年頃 油彩、カンヴァス

この絵では「愛の神キューピッド」が、弓を杖のように地面に立て、左手を掲げる姿が描かれています。
キューピッドが描かれていることにより、女性が読んでいる手紙が恋愛に関する手紙であることが暗示されますが、よく見るとこのキューピッドは仮面を足で踏みつけています。
《ヴァージナルの前に立つ女》という作品にも同じようなキューピッドの画中画が描かれていますが、こちらには仮面はありません。この仮面が何を意味するのか?・・・興味は尽きません。

ポスターやチラシなど、フェルメールの 《 窓辺で手紙を読む女 》にだけ焦点が当てられていますが、

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