御岳渓谷の旅館建物室礼美術館「河鹿園」に行ってきました。
河鹿園は、大正の終わりから昭和初期にかけて粋な意匠を凝らして建てられた料亭旅館です。
2017年に旅館としての営業を終え、現在は日本画や書画のギャラリーとして一般に公開されています。
河鹿園は多摩川の流れを見下ろす小高い位置にあり、建物全体が2020年に国登録有形文化財として登録されました。
旅館建物 室礼 美術館の「室礼」とは、ご先祖様やお客様・季節の収穫に感謝の気持ちを込めて室内に装飾を施すことをいいます。「しつれい」と読むのは失礼で、「しつらい」と読みます。
各客室ごとに季節の室礼とともに書画や茶花を展示し、風情のある美術館として御岳渓谷の人気アートスポットとなっています。
御岳に住んでいた川合玉堂をはじめとする著名な画家や書家の貴重な作品を、ガラスケースの中に飾るわけでもなく、じかに見ることが出来る貴重な美術館です。 写真撮影も、「ご自由に撮ってください。」と、なんとおおらかなことか。
館内には旅館時代の部屋がそのまま残されていて、今は各部屋で「玉堂翁尽くし展」という展示を行っています。(11月15日〜12月17日)
川合玉堂は1873年(明治6年)11月24日生まれで、一昨日生誕150年を迎えました。
太平洋戦争中の1944年(昭和19年)に御岳に疎開した川合玉堂が河鹿園に大変世話になったという関係から、多くの玉堂作品がこの河鹿園に残されています。
川合玉堂 《鶺鴒》 1956年
描かれているのはセグロセキレイ(背黒鶺鴒)と紅葉です。
以前はこの多摩川の川面を、多くのセグロセキレイやキセキレイが飛んでいたということです。
御岳渓谷遊歩道を歩いて河鹿園に来る途中、キセキレイ(黄鶺鴒)を見かけました。
多摩川向こう岸にある「玉堂美術館」前の、大きなイチョウの木が室内から見えます。
川合玉堂 《秋山渓声》 1921年頃
1944年から御岳に疎開した玉堂は、住居を「愚庵(ぐあん)」、画室を「随軒(ずいけん)」と称し、その地を終の棲家としました。晩年は「愚庵」を別名として用いています。
川合玉堂 《湖畔新雪》
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