東京都新宿区弁天町にある、草間彌生美術館（YAYOI KUSAMA MUSEUM）です。

隣のマンション入口を塞いでしまうくらいに多くの人が並んでいました。当館の観覧者は外国人が多く、３分の２位は外国の人達になります。

今回の展示は「幻の色」をテーマにしており、初期から現在に至るまでの代表的なシリーズから、草間彌生の特徴的な色彩表現の変遷を辿っています。

１階の会場入ってすぐの場所に展示された《塔》という作品は、蛍光ピンクの多数の箱が円柱形に積み重なり、中には黒い水玉が描かれたソフト・スカルプチュアが置かれています。

草間彌生の幻覚・幻聴の“恐怖”を表しているようです。中から飛び出してきそうで、観ているこちらも恐怖を感じます。

※ソフト・スカルプチュアは彫刻の一種で、織物（布）、フォームラバー（気泡ゴム）などで作られた作品

草間彌生　《塔》　１９９８年　詰め物入り縫製布、木、ペイント　２４点組　350×150×150cm

草間彌生《魂を燃やす閃光（A.B.Q.）》１９８８年 / 《塔》１９９８年

《魂を燃やす閃光（A.B.Q.）》は横５．２メートルの大作です。近づいてよく見ると、精子を思わせる水玉が隙間なくうごめいています。

草間彌生　《魂を燃やす閃光（A.B.Q.）》部分　１９８８年　アクリル、キャンバス　194×520cm

生活空間の中に蛍光色の水玉が浮かび、自身が水玉に取り込まれたような感覚になります。

《I'm Here, but Nothing》というタイトルで、無限に反復・増殖した水玉の中に自分自身を埋没させて、世界と自分の境目をなくそうとした作品です。

テレビに映っているのは、自作自演で歌を歌う草間彌生です。

草間彌生　《I'm Here, but Nothing》　２０００/２０２２年　蛍光ステッカー、ブラックライト、家具、日用品　サイズ可変

屋上では青空の下、鮮やかな水玉模様の花が咲いていました。真昼間に咲いていても《真夜中に咲く花》です。

草間彌生　《真夜中に咲く花》　２０１０年　F.R.P.、ウレタン塗料、鉄　190×244×122ｃｍ

屋上からは新宿の高層ビル群が見えます。ワイドレンズで撮影したので小さくなってしまいましたが、赤い矢印が今年４月に開業した「東急歌舞伎町タワー」です。