ホテル雅叙園東京(旧:目黒雅叙園)で「初春の文化財見学 百段階段の百の縁起もの」というイベントが開催されています。
この企画は、250枚の日本画と建築意匠に囲まれた百段階段の絢爛豪華な装飾の中から、健康や長寿、富貴といった縁起もの(吉祥)に関わる意味や願いを込めて制作されたものを100点選び出して紹介するというものです。
とアップして来たので、今日は建築意匠から吉祥モチーフを探してみました。
「草丘の間」から見える「十畝の間」の屋根の「懸漁(けぎょ)」です。
「懸漁」とは神社やお寺の屋根の破風(はふ)部に取り付けられる装飾板ですが、木造の建築物を火から守るための火伏せのまじないの意味も持ちます。水に関係するものを装飾木彫りとし、ここでは蓮(ハス)の花が採用されています。
「草丘の間」の廊下の高欄(こうらん)には鯉が彫られています。中国には鯉は龍になるとの伝説があり、出世魚として尊ばれています。
窓などの格子を補強するために四隅につける板を「隅板(すみいた)」といいます。
小さな縁起ものですが、末広がりの扇型になっています。
「隅板」は装飾としても大きな意味を持ちます。
一つひとつをよく見ると、羽を広げた蝙蝠(コウモリ)の形になっています。
西洋では不吉なイメージの強い蝙蝠ですが、中国では幸運を招くとされ、吉祥モチーフとして採用されてきたといいます。
厳寒に耐える常緑樹であり、竹、梅とともに「歳寒三友(さいかんさんゆう)」とも呼ばれる吉祥画材の「松」のデザインが隅板になっています。
「清方の間」です。写真左の隅板は「桜の花びら」を模しています。
セコメントをする